【業界動向】障害福祉職員の平均給与が過去最高に。それでも、まだ足りない理由

障がい福祉

こんにちは。
福島県いわき市の First Step行政書士事務所です。

先日、厚生労働省が発表した最新の調査結果によると、2023年度の 障害福祉職員の平均給与(額面)は月32万7,720円 となり、前年より +6.49% 増加しました。
この金額は、過去5年間で最も高い水準となっています。


【過去5年の給与推移】

厚生労働省の「福祉・介護職員等処遇状況等調査」に基づき、障害福祉職員の平均給与(月額)の推移をまとめました。

年度平均給与(月額・額面)前年比
2018年度約28万4,000円
2019年度約29万3,000円+3.2%
2020年度約30万1,000円+2.7%
2021年度約30万9,000円+2.6%
2022年度約30万7,600円▲0.5%(微減)
2023年度32万7,720円+6.49%

ここ5年で見ると、月額約4万円以上アップ していますが、物価上昇や人材確保の難しさを考えると、現場の実感として「やっと平均的な水準に届きつつある」という声も多く聞こえます。


【処遇改善加算とは?】

ここで、福祉職員の給与アップの主な原資となっている 処遇改善加算 について、簡単に解説します。

処遇改善加算の仕組み

現在、以下の3つの加算があります。

  1. 処遇改善加算
  2. 特定処遇改善加算
  3. ベースアップ等支援加算

つまり、今回の給与増は 国が「加算」という名目で事業者に交付 → 事業者が職員の給与に反映 という流れで実現しています。


【率直な感想】

確かに今回、平均給与は 過去最高 となりました。
しかし、現場で働く方々の声を聞くと

  • 人手不足で1人あたりの負担は以前より増えている
  • 給与アップ分が「手当」や「一時金」であり、基本給はほとんど増えていない
  • 生活費や物価高の影響で、実質的な生活のゆとりは増えていない

といった声が多いのが現実です。

正直に申し上げて、現在の平均給与では
「長く安心して働ける仕事」 とはまだ言えません。


【今後の見通しと課題】

今後、国は処遇改善加算のさらなる拡充を検討していますが、私が感じる課題は以下の3点です。

① 一時金・手当ではなく基本給の底上げ

年収ベースで 450万〜500万円 が当たり前にならなければ、離職率は下がりません。

② キャリアパスの明確化

福祉業界で長く働くことで「スキル・経験がきちんと評価される仕組み」が必要です。

③ 現場の声を反映した制度設計

制度の数値目標ではなく、現場職員の「働きやすさ」「働きがい」 を軸にした施策が求められます。


【最後に】

福祉職員の皆さんの仕事は、人の生活そのものを支えるかけがえのない仕事 です。

これからも、First Step行政書士事務所 では、
福祉事業者の皆さまが安定して運営できるよう、制度利用や各種申請のお手伝いを続けてまいります。

福祉の仕事が「やりがい搾取」ではなく、「社会的に評価される仕事」になる未来を目指して。


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