はじめに
福祉業界では、介護施設の開設や運営、障がい者支援事業などで「補助金」や「助成金」を活用する機会が多くあります。しかし、これらの違いを正しく理解していないと、申請できるものを逃したり、手続きを誤ったりする可能性があります。
今回は、行政書士の視点から「補助金」と「助成金」の違いを分かりやすく解説し、適切な申請方法についても紹介します。また、申請の際に関わる士業の違いについても説明し、依頼者が適切な専門家を選べるようにします。
補助金と助成金の基本的な違い
補助金とは?
補助金は、国や自治体が特定の事業や取り組みを支援するために交付する資金です。一般的に、採択されるための審査があり、要件を満たしたすべての申請者が受け取れるわけではありません。
- 競争型:審査があり、優れた計画が選ばれる
- 後払い:事業実施後に精算して支給
- 使途が指定されている:補助対象となる費用が決まっている
助成金とは?
助成金は、一定の要件を満たせば受給できる資金で、主に厚生労働省系の雇用関係や福祉関係の支援が多いです。
- 要件型:要件を満たせば基本的に受給可能
- 後払い:助成対象となる事業が実施された後に支給
- 雇用関連が多い:特に労働環境の整備や人材採用に関するものが多い
主な違いを比較
項目 | 補助金 | 助成金 |
---|---|---|
申請方法 | 競争・審査あり | 要件を満たせば受給可能 |
支給時期 | 事業完了後 | 事業完了後 |
目的 | 新規事業・設備投資など | 雇用促進・人材育成など |
代表的な管轄機関 | 経済産業省、自治体 | 厚生労働省、自治体 |
福祉業界で利用できる補助金と助成金の例
補助金の例
- 介護ロボット導入支援補助金(介護施設向け)
- バリアフリー改修補助金(障がい者施設向け)
- 地域密着型福祉施設開設補助金
助成金の例
- 特定求職者雇用開発助成金(障がい者や高齢者の雇用促進)
- キャリアアップ助成金(職員のスキル向上支援)
- 両立支援助成金(育児や介護との両立支援)
士業における業際問題とは?
行政書士ができること
行政書士は、補助金・助成金の申請書類の作成や提出代行が可能です。ただし、事業計画の策定や収支計画の作成支援もできますが、税務や労務に関するアドバイスは行えません。
社会保険労務士や税理士との違い
- 社会保険労務士:雇用関係の助成金(例:キャリアアップ助成金)の申請代行が可能
- 税理士:補助金・助成金の収益計上や税務処理を担当
依頼者が注意すべき点
補助金・助成金の申請を依頼する際は、**「どの士業が対応可能か」**を確認しましょう。例えば、雇用系の助成金を行政書士に依頼すると対応できないケースがあります。
補助金・助成金申請の流れ
事前準備
- 申請要件の確認
- 事業計画・資金計画の策定
- 必要書類の準備
申請手続き
- 補助金:公募期間中に申請し、審査を受ける
- 助成金:条件を満たした段階で申請
採択後の対応
- 補助金:事業実施後に報告書を提出し、補助金を受給
- 助成金:要件達成後に支給申請を行う
まとめ
補助金と助成金は、福祉業界の事業者にとって重要な資金調達手段ですが、それぞれの違いを理解しないと、申請できるものを見逃したり、適切な士業に相談できなかったりすることがあります。
行政書士としては、適正な手続きの支援を通じて、依頼者がスムーズに資金を受け取れるようサポートしていきます。
皆さんの事業では、補助金や助成金の活用を検討していますか?どんな支援が必要でしょうか?ぜひコメントでお聞かせください!
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