就労移行支援事業の開業ガイド

障がい福祉

はじめに

障害を持つ方の就労支援に関心をお持ちの方へ。

「地域のために福祉サービスを提供したい」「障害者の自立を支援する仕事をしたい」と考える方にとって、就労移行支援事業は大きなやりがいのある分野です。しかし、開業には法人設立や指定申請、資金調達など、クリアすべきハードルも多くあります。

また、現在の福祉業界では、支援の質の向上や企業との連携強化が求められており、利用者の定着率を高める工夫が重要です。こうした背景を踏まえ、本記事では、いわき市で就労移行支援事業を開業するためのポイントをわかりやすく解説します。

1. 就労移行支援とは?

就労移行支援とは、障害を持つ方が一般企業での就労を目指すための支援を行う福祉サービスです。事業者は、利用者に対して職業訓練や面接対策、就職活動の支援を行い、一般就労への移行をサポートします。

2. 開業に必要な要件

2-1. 法人設立

就労移行支援事業を運営するには、株式会社やNPO法人、一般社団法人などの法人を設立する必要があります。

2-2. 指定申請

事業を開始するには、福祉サービスの指定を受ける必要があります。指定権者は福島県であり、指定基準を満たすことが求められます。

2-3. 施設基準

  • 面積:1人当たり3㎡以上
  • 設備:相談室、訓練スペース、事務室、トイレ、休憩スペースなどが必要
  • 立地:利用者が通いやすい場所が望ましい

2-4. 人員基準

  • 管理者(常勤)
  • サービス管理責任者(実務経験要)
  • 職業指導員・生活支援員(資格要件あり)
  • 事務職員(適宜)

2-5. 運営基準

  • 個別支援計画の作成
  • 定期的なモニタリング
  • 就職後の定着支援
  • 利用者の安全管理

3. 開業資金とランニングコスト

3-1. 開業資金の目安

項目費用目安
法人設立費用約30万円
物件取得費(賃貸保証金等)約100万円
内装・設備工事約200万円
備品・機器(PC、デスク等)約50万円
指定申請手数料約10万円
広告宣伝費約20万円
合計約410万円

3-2. ランニングコストの目安(月額)

項目費用目安
賃料15万円
人件費(3名)60万円
光熱費・通信費5万円
消耗品費3万円
保険・税金7万円
その他(広告費等)5万円
合計約95万円

4. 収益モデルと報酬体系

4-1. 報酬単価(1人当たりの月額報酬)

就労移行支援事業は、利用者1人あたり約10万〜15万円の報酬が国や自治体から支払われます。

4-2. 利用者20名の場合の収益シミュレーション(月額)

項目金額
収益(利用者20名 × 12万円)240万円
ランニングコスト95万円
営業利益145万円

5. 開業までの流れ

  1. 事業計画の作成(市場調査・事業内容の決定)
  2. 法人設立(登記・銀行口座開設)
  3. 物件選定と契約
  4. 人員確保と研修
  5. 指定申請と審査(約3〜6ヶ月)
  6. 事業所開設・営業開始

6. まとめ

いわき市での就労移行支援事業の開業には、法人設立、指定申請、施設基準・人員基準の確保が必要です。初期費用として約400万円、ランニングコストは月95万円程度かかりますが、適切に運営すれば安定した収益を見込むことができます。

開業を考えている方は、行政書士に相談しながらスムーズに手続きを進めることをおすすめします。

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