【定款の目的例】障がい福祉サービスにおける法人設立時の注意点

障がい福祉
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障がい福祉サービスを始める際には、「法人の定款作成」が必須です。
中でも特に重要なのが「目的」欄の記載です。ここに不備があると、指定申請時に差し戻されることも。

今回は、法人形態ごとに、福祉サービスに適した目的の記載例と注意点を解説します。


1. 株式会社の場合

✅ 記載例

第◯条(目的)

1. 障がい者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するためのサービスの提供  
2. 就労継続支援A型事業の運営  
3. 放課後等デイサービス事業の運営  
4. 前各号に附帯関連する一切の事業

✅ 注意点

  • 法人登記前に目的が適切に記載されていないと、指定申請時に「目的外事業」として不受理のリスクあり
  • 福祉サービス名は正式名称で書く(例:「就労A型」ではなく「就労継続支援A型」)

2. 一般社団法人(非営利型)の場合

✅ 記載例

第◯条(目的)

この法人は、障がいのある方およびその家族に対して、福祉サービスの提供を通じて地域社会への参加と自立支援を行うことを目的とする。  
また、以下の活動を通じてその目的を達成する。

1. 生活介護、共同生活援助(グループホーム)の運営  
2. 放課後等デイサービス・児童発達支援事業  
3. 地域交流イベントや相談支援の企画・運営  
4. 前各号に附帯関連する一切の事業

✅ 注意点

  • 「社会貢献性」「公益性」を感じられる表現を意識
  • 「営利を目的としない」旨を定款内で明記すると非営利型として認定されやすくなる

3. NPO法人の場合

✅ 記載例

第◯条(目的)

この法人は、障がいのある方が地域社会で自立して暮らしていけるよう、福祉サービスを提供し、福祉・医療・教育機関などとの連携を通じて、誰もが安心して暮らせるまちづくりに寄与することを目的とする。

また、次の活動を行う。

1. 障がい者の日常生活支援、及び生活介護事業の運営  
2. 就労継続支援B型の提供  
3. 障がい児を対象とした通所支援サービス(児童発達支援・放課後等デイサービス)  
4. 地域福祉に関する啓発活動  
5. 前各号に附帯関連する一切の事業

✅ 注意点

  • NPO法上の20分野の活動目的に該当している必要あり(例:「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」)
  • 所轄庁のチェックが厳しいので、定款の目的は具体的かつ簡潔に記載する

4. 社会福祉法人の場合(参考)

※設立要件が非常に厳しいため、実務上は既存法人からの移行や特別な計画が必要

✅ 記載例(参考)

第◯条(目的)

この法人は、社会福祉法および障害者総合支援法の趣旨に基づき、障がいのある人々が地域社会で安心して生活できるよう、適切な支援・援助を行うことを目的とし、次の事業を行う。

1. 障害福祉サービス(生活介護、施設入所支援、短期入所等)の提供  
2. 障がい児通所支援事業(児童発達支援、放課後等デイサービス)  
3. 地域活動支援センターの運営  
4. 前各号に附帯関連する一切の事業

✅ 注意点

  • 設立には都道府県の認可・多額の基本財産が必要
  • 福祉三法(社会福祉法、障害者総合支援法、児童福祉法)を明示的に意識した記載が必要

目的記載のポイントまとめ

チェック項目内容
✅ 法令との整合性「障害者総合支援法」「児童福祉法」に基づく正式な用語を使うこと
✅ 曖昧な表現はNG「各種福祉サービス」ではなく、具体的なサービス名を明記
✅ 付随業務も記載「相談支援」「関連イベント」などの付帯事業も目的に含めておくと◎
✅ 目的が申請と一致定款目的と指定申請内容が一致しているか事前にチェック

最後に|定款作成は専門家チェックが安心

定款の「目的」は、ただの形式的な文書ではなく、事業の許認可や運営方針に直結する重要項目です。
特に福祉サービスは行政の審査もあるため、定款の記載ミスが命取りになることも。

不安がある場合は、行政書士や司法書士といった専門家にご相談いただくことをおすすめします。

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